まちこのerotica
こんなに臨戦態勢にしておいて、あっさり手のひらを返す薄情さ。


アホみたい私…

だからって、嫌いになるわけじゃないけれど、さすがの私も馬鹿馬鹿しくなってしまった。


その夜、私から、ハセの携帯に電話したのは、この屈辱的な出来事を忘れたかったからだ。

ケダモノだろうがなんだろうが、誰かに愚痴を聞いてもらいたかった。
もちろん。
コトの詳細は話さなかったけれど。


「長谷部さん、私、しみじみ思っちゃった…やっぱり不倫て虚しいものだね…」


『おう、どうしたんだよ?』

ハセは猫撫で声を出す。


「高波さんが奥さんからの電話で、デート中なのにさっさと帰っちゃったの」


『まじ?あいつ本当、ろくでもねえな!』


デート中っていうか、エッチ中だったんだ。ハセはそこまで想像していないだろうけど、私の話にとても憤慨していた。そして、高波さんの悪口を山ほどいった。

『あの野郎のあとのトイレがムチャクチャ汚くて、いつも床がビショビショ!』だとか。

『あいつ、所長という立場を利用してあの奥の部屋でしょっちゅう昼寝してて、それで溜まった仕事、コッチに押し付けてくるんだ!』とか。


直属の上司である高波さんにハセは、日頃から不満を募らせていた。


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