まちこのerotica
『あのよ、折り入ってお願いがあるんだ!』
切羽詰まったような口調。
借金の申し込みならお断りよ。
「えっ?」
私はわざと間抜けな声を出す。
『頼む、吉本!俺を男にしてくれよ!』
「…はあ?」
私は抱えていたクッションをポン、と左手で放り投げた。あまりにも突拍子もない展開に呆れてしまって。
ハセはマシンガンのように喋り出した。
『お前にだけは話すよ!
俺よ、彼女いない歴25年。中学の時から好きになった子に彼氏がいて、アウトオブ眼中の子には告られる悪魔のパターン。
理想と現実が、うまく噛み合わなくここまできちまった。
で、その結果さ、風俗でしかやったことない!つまり、素人童貞。
あ、でも安心しろよ。
病気とか絶対ねえから!俺、金かかっても優良店でしか遊ばない主義だし、大丈夫。そういうのすごく気をつけてるし。
だけど、やっぱり、商売女とじゃ虚しいんだよな…
つくづく思うんだ。
愛が欲しいって。
いずれは結婚だってしたいし、子供も欲しい。それだったら、身近な女の子と付き合わなきゃって。でも仕事忙しいし、出逢いもねえし。で、あっちの方は溜まるばかりで、ついさ、誓いを破りそうになっちまうんだよ!』
「…誓い?」