まちこのerotica
「いいや…つまんねえ迷惑メールだよ…一応、どれどれ…」
素っ気なくいいながら、このところ滅多にメールなど寄越さなくなくなった妻からのそれを読まずにはいられなかった。
何かあったのか?と心配になる。
真千子の手前、いかにも面倒臭そうにスマートフォンの画面に指を滑らせた。
[お仕事お疲れ様。
昨夜、幸久の自転車のチェーンベルトが外されてしまったの。
どうも、誰かにいたずらされたみたい。
夕方、塾に行くのに、駅の近くの花壇のそばに自転車を停めたって言うんだけど。
修理に出したら5千円も取られたわ。
あなたも花壇のそばにマウンテンバイク、停めてるって言ってたわよね?
あの近辺に置かれた放置自転車、何者かが嫌がらせの為かいたずらしてるらしいわよ。
川に自転車投げ捨てられた人もいるって、ご近所の人が言ってた。
あなたのマウンテンバイク、ちょっと高いやつだから、壊されたりしたら修理代高いんじゃない?
変なところに停めないで、ちゃんと有料駐輪場、契約したら?]
妻からの説教めいたメールを5秒で読んだ俺は、スマホを枕元に放る。
「もしかして奥さん?」
真千子がイタズラっぽく笑い訊く。