まちこのerotica
一浪してまで大学を出たのに、出世街道から早くも外れてしまった。

最初は大、大ショックだった。

でも、事務所から徒歩10分で海を眺めに行けるし、営業成績を競うライバルもいない。自由気ままに仕事出来ることに気付くと、そう悪いところじゃない、とポジティブシンキングになれた。


最低最悪な男、高波と吉本真千子が、俺とスズキ爺が帰ったあとの火曜の夜、あの奥の部屋で密会しているのが分かったのは、高波が関東第二営業所に着任してしばらくしてのことだった。


その木曜の朝、真千子から高波に宛てて書かれたいやらしい手紙を、偶然に俺が拾ったことに始まる。


薄々、何かがおかしい、と思っていた。

このところ、木曜の朝になるとゴミ箱に大量の使用済みティッシュが投げ込まれていたから。

スズキの爺さんは、蓄膿症で鼻をかんでばかりいるが、この部屋に来ることはめったにない。

鍵を管理しているのは高波で、(あいつのデスクの引き出しに入っている)あいつは俺たちがここに入ることを露骨に嫌う。

表向きは休憩室なのに、俺たちは利用させてもらえなかった。だから、俺だってなかに入るのは、朝の簡単な掃除の時くらいだ。





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