まちこのerotica
真千子は、15分くらいトイレに篭ったあと、小脇にレターケースを抱え、いそいそと三階にある資料保管室に入って行ったのだ。
なんで、この時間にこんなトコに…?
しばらくすると、スラックスのポケットに両手を突っ込んだ高波がふらりと現れた。
高波がこんなところに用事があるわけがない。雑用は必ず人に言いつけるものぐさジジイだ。
高波は警戒もする様子もなく、なんだかウキウキした感じで部屋に入って行った。
そして…!
ドア越しにかすかに聞こえてきたのは、女のいやらしい喘ぎ声。
な、なんだ、なんだ?
もっと聞きたくて、俺はドアに張り付き、右の手ひらを筒にして耳にあてる。
が、俺は近付き過ぎてしまった!
物音は立てていねえのに、セクロス中の真千子と高波に気付かれた気配を感じ取り、慌てて逃げた。
ドキドキ動悸が止まらねえ。
生身の女のあの時の声。演技じゃなくてモロ本気の!
それを直にきいてしまった俺は、もう誰にも止められない。
作戦を立て、突っ走るのみだ。
勤務地は違うけれど同じ会社だから、その気になれば、吉本真千子のメアドなんて割りと簡単に知ることが出来る。
すぐさま俺は、合コンやろうって、本社の営業の後輩・ヤマダに持ちかけてメンバーを集めさせた。
ちなみにこいつは、イケメン気取りで鼻持ちならん奴だ(俺は心の中で、いつも死ね!と思ってる)