まちこのerotica
思惑通り、ヤマダは真千子にも声を掛けて、俺は彼女のメアドと電話番号をゲットした。
(合コンは一応、やったけど真千子はリストから外し、呼ばなかった。
ここで他の男が真千子に言い寄ったりしたら、面倒だから)


電話番号を入手した俺は、早速個人的に真千子に電話して告げた。


『吉本…会社であんなことしていいと思ってる?』って。


だんまりを決め込んで、何も答えない真千子に、つい残酷な気持ちになってしまう。

ねずみをいたぶる猫のように。
あるいは、オタリアをいたぶるシャチのように。


決して、脅すつもりはなかったんだ。

でも、真千子は高波を本気で好きだと言って泣いた。

その一途さに俺は心を打たれた。


こいつを救い出さなければ、一刻も早く…!と強く思った。


どんなセリフを吐けば、彼女の心に響くんだろうか?……

考えた末、俺は言った。


『…俺さ、吉本のこと前から気になってた。俺と付き合ってくれたら、あの手紙、燃やすよ。じゃないと大変なことになるよ』


すごく卑怯な手だと分かっていた。でも、不倫に溺れる彼女を振り向かせる為にはそれしかなかった。


そして、これがきっかけで真千子と俺の関係は始まる。


それは結果的に言えば、真千子にとっても悪いことじゃなかった。





< 75 / 109 >

この作品をシェア

pagetop