まちこのerotica
鬱積と樹々の繁る山を切り開いたワインディングロードを俺は今、走り抜ける。
季節は秋。
山並みが美しい紅葉を見せているが、今の俺には関係ねえ。
ハンドルをにぎりながら繰り返し、尾崎豊の「アイラブユー」を熱唱した。何度も何度も。
真千子はもうロッジに着いただろうか。
早速、あの高波にいやらしいことをされまくってるかもしれない。
いつの間にか、熱い涙が俺の頬に伝う。
喉からゲップみたいな嗚咽が込み上げてくるのがうざかったけれど、俺は歌い続けた。
アイラブユーを。
そうすれば、この想いが届く気がした。
やっぱり、読み通りだった!
午後4時。
スーパーというよりは、大きめな商店といったその店に真千子と高波はやってきた。
高波は黒いポロシャツにチノパン。真千子は、黄色と黒のペイズリー柄ワンピース。胸のところにヒラヒラと大袈裟なフリルがついている。
そして、季節はずれの大きなツバの麦藁帽子。朝顔?ひまわり?よく分かんねえけど造花付き。
はっきり言ってメチャ趣味悪い。
でも、この日を楽しみにして張り切って、冒険したんだろう。
普段の真千子はGパンに地味なブラウスやチュニックばかりなのに……健気な真千子がいじらしくなる。