まちこのerotica
うわあっ!
男の叫び声が聞こえてきた。
尋常じゃないその声は、高波さんのものだ。何か緊急事態が起こったとしか思えない。
まさか、訪問客は…強盗?
も、もしかして…最悪のケース…激昂した奥さん?
部屋の向こうで、小競り合いが起きているのがわかる。
ガタガタという物音。
誰かの切羽詰まったような話し声。
泥棒だったら助けなきゃ、
万が一、奥さんだったら隠れたほうがいいのかも…?
でも、私になす術はない。
私はあられもない姿で貼り付けにされているのだから。
ドタドタドタと足音が近付いてくる。
「おい!キミ、勝手に入るなよ!」
「やっと見つけたんだ!
スーパー出たところで、お婆さんがすっ転んでるとこ助けてるうち、お前らの車、見失った。
あちこちの貸別荘探して、ようやくうちの会社の車、見つけたんだ!」
「そ、そんなもの振り回すな!やめろ!そこは開けるな!」
「うるせえ!真千子はこの部屋にいるんだろ?若い女を弄びやがって、このどすけオヤジ!
お前なんか上司でもなんでもねえ!
全部会社にチクってやるからな!あと、奥さんにも!」
ドア越しに聞こえてきたのは…聞き覚えのあるドラ声。