まちこのerotica
私が人の親になるなんて、信じられないけど現実だ。
毎日子供達にあれこれ、うるさく言ってしまう毎日。
だけど、男の子はいくつになっても可愛い。時折見せる優しさ、強情さ、しなやかさ。
二人とも決して学業優秀でもなく、父親似で、イケメンには程遠いけれど、私の宝物には違いなかった。
若い男が家にいるというのは、本当にいい。気持ちが若くいられる。
だけれど、子供達にはかわいそうな世の中になっていた。
日本経済は衰弱の一途を辿り、今や瀕死状態。
1.5人に一人が高齢者と言われる時代だ。
政府は対策として若者が高卒後、すぐに就職することを奨励した。
少しでも、税金を取るために。
今や買い物をすれば、20パーセントもの消費税を課せられる。
ハセも私も息子達には大学進学より、手に職を付けることを強く望んだ。
学歴なんか、なんの意味もない。
超少子化で金さえ出せばどこの大学だって入れる。
せっかく大学を出て就職しても、サラリーマンは使い捨てのコマだ。
よほど労働組合のしっかりした企業でなければ、会社に身を委ねるのは、あまりにも危険な社会になっていたから。
それは現役サラリーマンのハセと妻の私が痛感していたことだった。
去年、ハセは、亡くなった。