私の愛した未来
私の気持ちを察したのか
未来がそっと私の身体に腕を伸ばす。
そしてそのまま
未来が私を抱きしめた。
「……春子…今日のことは忘れろ。明日からのことは俺がなんとかするから。」
優しい未来の言葉にまた涙が溢れる。
怖かった。
本当は忘れようと思いすぎて無理してた。
明日から林くんに会うと思うと怖くて仕方ない。
私は未来の制服をギュッと握った。
「春子…」
「こ、怖かった…未来に助けてって願ったの…そしたらっ…未来が来てくれて…」
「うん。ごめんな…もう少し早ければ…その…キス…も…」
未来の抱きしめる力が強くなる。
「…初めてだったのっ…はっ、林くんとはしたくなかったよぉ…」
涙で上手く話せない私の話を未来はしっかり聞いてくれる。
私はただ未来にしがみついた。
泣いてもどうにもならないけど…
心から未来がいてくれて良かったと思う。
きっと未来がいなかったら
今ごろ1人で自分の部屋で泣いてたんだと思う。
「春子…顔上げて?」
そう言われて
未来の胸にうずめていた顔をあげる。
涙で視界がぼやけて未来の顔がハッキリとは見えない。
チュッ…
顔をあげると
私の頬に未来がそっと口付けをした。
「…これでノーカウントにしとけ…」
「…みらい…?」
「本当の初めては…好きな奴のためにとっとけ。いいか?お前の涙は俺がチャラにしたんだ。だから…もう泣くな。」
そう言って私の髪をそっと撫でる。
未来が私の心の傷を一緒に持ってくれているような感覚になる。
好き。
好きだよ。
未来…。
私には未来が必要だよ。
「ありがとぅ…」
私はそう言って未来に抱きつく。
今だけ。
今だけだから、未来にこうやって思い切り甘えることを許して。
みんなの未来に抱きしめてもらうことを許して。