私の愛した未来


グチャグチャの顔で泣いた。

どれだけ泣いて、どれだけ未来に抱きしめられたか分からないけど

次第に涙は乾いていく。




「…もう、平気か?」


「…うん…。」


「…腹減らない?」


「…減った…かな。」


「よし、美味いもん作ってやる。」


「え…未来が作ってくれるの?」


「当たり前だろ、他に誰が作るんだよ。…あ、春子、お前…俺が料理作れるのか心配なんだろ?」


う…図星ですけど…。


「安心しろ。ふつーに出来るし。ってか、前にお前の家で料理手伝っただろ?」


「あ…」

言われてみればそんなこともあったよーな…。

「早く着替えてきな。二階の俺の部屋の横。空いてるから。」


そう言って未来が私の頭をポンっと撫でる。


ドキドキしつつも自分の服装に目をやると
まだ制服を着ているままだった。


荷物を持って二階にあがる。

まっすぐ行って未来の部屋の横の部屋に入る。

ベッドが1つ。
あとは薄いベージュのカーペットが引いてある。

確かここは、昔未来のお父さんの書斎だったはず。


荷物が何もない空間が妙に寂しい。


ササッと部屋着に着替えて
下に降りる。


キッチンに行くとすでに未来は調理に取り掛かっていた。


制服のワイシャツ姿で料理する未来。


腕まくりしてるけど
そのシャツは私がさっきまで握りしめていたからシワになってしまってる。


「ちょっと冷蔵庫からケチャップだしてー。」


「あっ、はいはい。」


未来の手伝いをしているうちに美味しそうな匂いが立ち込める。


「……お腹なっちゃう…」


「もうすぐできるぞ。座ってていいよ。」


言われた通りテーブルについて
料理を待つ。





「お待ちどう様。」


「わぁっ…」


目の前に置かれたのは美味しそうなトロトロ卵のオムライス。


「オムライスっ!!」


「好きだろ??」


「うんっ!!!大好物!」


いつもより張り切って返事をすると
未来が ぷっと吹き出した。


「なっ、なんで笑うのよー」


「いや?お前は昔から変わってなくて楽だなーって思って…」


「なっ!!ヒド!私だって変わってます」


「オムライス大好物でオレンジジュースも好きで…シュークリーム頬張るのが変わってないのに?」


笑いながら話す未来は私の顔を覗き込む。


「っ!!!食べ物の好みはそう簡単に変わらない!」


「はいはい、全部変わってねぇけどな。」


「もぅ!未来!」


「いいから早く食べなさい。」


若干流された気がするけど…

まぁ、いっか。お腹空いちゃったし。




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