私の愛した未来
そう声をあげた瞬間。
ふっと部屋の中が真っ暗になる。
「「え?」」
2人の声がハモる。
真っ暗な闇が私たちを包む。
ゴロゴロ…
ピシャッ!
「きゃあ!」
雷が光る。
昔から雷苦手なのに…。
ゴロゴロ…
「ぅ…ぅ…」
「春子?大丈夫か?」
「み、みら…未来…どこ…?」
暗闇の中で手を伸ばしてみるけど何にも触れない。
「そこ、動くなよ?」
「えっ…?」
少しの物音が聞こえて
なんとなく未来の気配が分かる。
「見つけた。」
そう言って未来の手が私に伸びる。
ピッタリ横にくっつく未来。
ゴロゴロ…ピシャッ!!
「ひゃっ!!」
「落ち着け、俺がここにいるだろ?」
「こ、こわ…い…」
「普段冷静なのにお前は…そこも昔から変わってないな。」
「無理なものはムリ!」
「…停電、この家だけじゃなさそうだな…。」
「…。電気つかないかなぁ…」
「このまま寝ちゃうか。」
「は??」
「どーせ、寝るときは電気消すんだから同じだろ。」
そりゃそーだけども…。
この状況で寝れるわけない。
雷超鳴ってるじゃん!
「とりあえず立てる?」
「う、うん…」
「二階に上がって寝るぞ。」
「…う、うん…」
手探りで階段までいく。
一段一段、未来の手を握りながら登っていく。
登り切ってまっすぐ歩く。
目がだんだんと慣れてきて暗闇の中でも動ける程度になってきた。
未来の部屋の前に着く。
「大丈夫か?寝れそう?」
私は返事の代わりにギュッと未来の手を握る。
「………。」
少しの沈黙…。
その間にも外では雷がひっきりなしに鳴っている。
私はその度に肩を震わせた。
「…き、今日だけだぞ。」
「えっ?!」
「一緒に寝てやるから、おいで。」
えっ?!!
動揺と驚きとドキドキが一気に来る。
でも
こんな雷の中で1人で寝るのは絶対無理。
今までだって
雷の日は耳せんして寝てるくらいだし。
「どーすんの?俺と寝るか1人で寝るか。」
しびれを切らしたように早口で言う未来。