私の愛した未来
友達以上恋人未満
懐かしい匂いが鼻をかすめる。
ゆっくりと目を開けると目の前には未来の寝顔。
!!?!
一瞬の驚きの後に
ふと、冷静になると 昨日のことを思い出す。
雷が鳴って…停電したから一緒に寝たんだっけ…。
そう、一緒に…。
ふと、自分の手元を見ると未来のTシャツをギュッと握っている。
慌ててパッと手を離して身体を離すと
思ったより離れられない。
未来の手がガッチリと私の背中にまわっている…。
この状態で一夜を過ごしたなんて…
私がモゾモゾしていたせいか
未来の目がゆっくりと開く。
未来は一瞬目を丸くして、思い出したかのようにハッとする。
「あっ、…はよ。」
「ぉ、おはよ…ぅ…」
ベッドの中で挨拶するなんて…
思っても見ないシチュエーションにドキドキを隠せない。
「…ぁ、朝飯にするか…」
「うん…」
未来の手がパッと離れて布団から出る。
寝癖をパパッと直して
未来の後ろを歩きながら1階に降りる。
私、絶対顔赤い…。
「…飯作っとくから…着替えておいでよ。行きたくないだろーけど、セミナーはあるし。」
「あっ、う、うん…」
階段の途中で振り返る未来に
顔が赤いのがバレないように手で顔を覆う。
急いで上に戻って着替える。
バックの上に置きっぱなしのケータイが光っているのに気づく。
開くとお母さんから1通のメールが届いていた。
【停電平気? お母さんたちはまだ忙しいので帰れそうにありません。未来くんのお家にでも泊まって、寂しくないようにね。】
…。お母さん…大丈夫かな。
私はちゃんと未来の家に泊まりました…。
お母さんがそれを勧めるのは…
いいのかな?
一応、幼なじみとはいえ、未来は男の子なのに…。
かすかな疑問を抱きながら
ケータイを閉じる。
今日も学校頑張ろう。
林くんに会うのは…正直怖いけど…。