私の愛した未来
真っ先に私の座る席を見ると
同じ机にすでに林くんの姿があって 未来が心配そうに私を見る。
大丈夫…。大丈夫。
未来がいる。
頑張ろう。
怖くない。私には…
未来がいる。
未来が林くんの横に座った後、私が未来の横に腰掛ける。
心臓がバクバクいってる。
妙な緊張感がこの3人の間に流れてる気がする。
「春子ちゃん。昨日はごめんね。」
そんな緊張感を破ったのは林くんだった。
そして、彼の表情は怖いほど爽やかな笑顔。
横の未来は完全にいないものと思ってるかのように 私に話しかけてくる。
…しっかりしなきゃ。
「春子ちゃん、初めてだった感じ?」
!!!?!
林くん…そんなこと聞く?
一体何を考えてるの??
「おい。林、お前いい加減にしろよ。」
私の恐怖心を消すかのように未来の声が聞こえる。
「え?俺は春子ちゃんに謝ってるだけだけど?初めてだったら、悪いことしたなぁーって。」
「お前っ…!」
今にも掴みかかりそうな未来の手をとっさに握る。
未来は私の顔を見て
顔をしかめる。
「よくそんなこと言えるな、林は何がしてぇんだよ。」
「俺?俺はただ春子ちゃんが欲しいだけだよ。」
サラッと言った言葉に鳥肌が立つ。
きっとこの言葉を大好きな人から言われたらどうしようもなく嬉しいはずなのに…
全然嬉しくない。
怖すぎる。
「お前に春子を幸せにする権利はない。」
そう未来が言うと、林くんは ハハハと笑い出す。
「権利はない?何言ってるんだよ、柴崎…お前こそ、春子ちゃんの何なんだよ。」
!!
鋭い目で未来を睨む林くん。
「俺は……」
『春子ちゃんの何なんだよ』
この質問に未来はなんて答えるのかな。
聞きたいような、聞きたくないような…。
私は未来の手を握りながらその答えをじっと待つ。
未来は…私の…。
「幼なじみだよ。」
その言葉になんとなく シュンとなる私。
当たり前だけど、改めて言われると結構くる。
「幼なじみがなに出しゃばってんの?彼氏でもないだろ?ただの友達程度だろ。」
最もな林くんの言葉…。
「ただの友達だと?んなわけねぇだろ。俺にとって春子は友達なんかじゃねぇ。んなものより大切なんだよ。いいか、もう春子に話しかけんな。」
ドキッ…
急に真剣なトーンで言われた言葉に胸がざわつく。