私の愛した未来


教室に入ると早速 山内先生が柴崎くんを改めて紹介し始める。


「えー、みんなも知ってると思うけど、柴崎は芸能界で働いてる。なかなか学校に来れないと思うが…仲良くな!」

…。
気のせいかな?

さっきから柴崎くんの視線が私に向いてるような…。

やたら目が合うよーな…。

「えーっと、柴崎の席は…あぁ、風戸!風戸の横な!」

「えっ、」

そう言われると柴崎くんはスタスタと私の横に近づく。

そして手を出される。

「…えっ??」

「春子。」

「えっ、えっ???」

柴崎くんが、私の名前を呼んだことによってクラスがざわつく。

「あっ、あの…なんで名前知ってるの…?」

「…春子…覚えてないの?」

柴崎くんは私の顔を覗き込む。

「えっ…」

どこかで会ったっけ…?

「春子?俺だよ、未来。……佐藤未来。」

佐藤未来…??


「えっ???み、未来…???」


思い出した…。


なんで分からなかったんだろう…


「み、未来…なんで…」

「思い出したか…忘れてるとは思わなかったけど…。」

「ご、ごめん…」


私の発言によりさらにざわつく教室。
< 11 / 114 >

この作品をシェア

pagetop