私の愛した未来
「…ぃ。」
今さらだけどスゴく気になる…。
芸名で柴崎未来?
でも、佐藤でもよかったんじゃ…
「おい!」
「はっ???!」
「さっきから何度も呼んでんだけど?」
若干怖い顔をする未来。
「ご、ごめん…」
「頼むからしっかりしろ…うわの空だぞ、さっきから。」
「…ご、ごめ…」
「…はぁ…。だいぶ前に渡したやつ。持ってる?」
「えっ??」
「チケット。」
チケット…??
!!
そうだ!
もうそろそろスプリングchildのツアーがまわってくるんだ…。
「持ってる!もうすぐ…だよね?」
「あぁ。それで、これ。」
そう言って差し出されたのはもう2枚のチケット。
「ん??これ??」
「松原と拓真に。一緒においで。」
「えっ!!いいの?」
「当たり前だろ。」
「でも…このチケットもうすごいプレミアなんじゃ…」
確か予約殺到で販売開始5分で売り切れたとか…
追加公演分はファンクラブに入っている人でも入手困難だったらしいし…
「おーい?俺がメンバーなこと忘れてません?」
「あ。そっか…。」
「あ、そっか、だと???おーまーえ!!何を見に来るんだよ!」
「お、怒らないでぇ!み、未来を見に行くから!」
「ったく、席もちゃんと隣だから。3人で見に来いよ。色々俺らのこと調べてるみたいだけど、コンサートは初だろ?」
「うんっ!」
どんなコンサートなのかな。
きっとステージの上の未来は
キラキラしてて、みんなのアイドルなんだろーなぁ…。
「楽しみにしとけ。」
そう言って私の頭をポンっと撫でる未来。
あっという間に家に着いてしまう。
普通に歩いて15分の道のりも
未来となら何倍も早く感じる。
もっと…一緒にいたい、なんて思ってしまう。