私の愛した未来
「どした?泣きそうな顔してっけど。」
「えっ…?」
泣きそう…だったかな?
「元気出せよ。…またおばさんたちいないのか?」
「ぁ、お母さん達は…遅いかな。」
でも、そんなのは慣れたことだし。
別に帰りが遅いからって
愛されてないわけじゃない。
少しだけ、さみしいけどね。
「…シュークリーム…食べに来る?」
「えっ?!」
「シュークリーム食いながらDVDでも見るか。」
こ、これは…
来いって…言ってるんだよね?
まだ、未来と一緒にいれるんだ!
「い、行く…!」
「おー。じゃあ、着替えたらおいで。」
「うん!」
嬉しくて嬉しくてたまらない。
最近の私は浮かれすぎ?
この前、里奈からも『表情が豊かになった』なんて言われたし…
急いで着替えて
未来の家にダッシュする。
ピンポーン…
インターホンを押すと未来の声が聞こえる。
『あいてっから、おいで。』
機械ごしに聞こえる未来の声はいつもより低く感じる。
それに、未来の『おいで』はいちいち私の心をくすぐる。
扉を開けて中に入る。
リビングまで進むと
未来がシュークリームをソファの前のテーブルに並べていた。
「おー、来たか。早く座れよ、今日は…オレンジジュース?」
「お、オレンジジュース!」
「りょーかい。 」
ゆっくりとソファに座ると
未来がジュースを持って横に座る。
「DVD何見る?」
「んー…」
私が悩んでいると
未来が立ち上がって サッサとDVDプレイヤーにディスクを入れてしまう。
画面に映し出されたのは
つい最近まで映画館で流れていたであろう、新作の恋愛もの。
実はこれ、見たかったんだよね。
「こーゆーの好きだろ?」
ドキッ…
映画の好みまで分かるなんて…。
本当にすごいね。未来は。
嬉しくてついニヤけてしまう。
「なーに、笑ってんだー?」
「んー…シュークリームが美味しくて?」
「なんで疑問形なんだよ」
そう笑いながら話す未来。
映画のストーリーは
ずっと一緒にいる幼なじみの恋を描いたもので
ケンカしたりしながら、もどかしい恋をしている。
まるで今の私みたい…。
物語はどんどん進み
ラストシーンへ…
『私…ずっと…昔から好きだった!』
『…なんで…お前から言うんだよ…俺だって好きだ。』
!!
照れながらもお互いに想いを伝える2人。
映画は見事感動のラストで
私は思わず涙を流す。