私の愛した未来
「あら!目が覚めたのね!良かった…帰れるかしら?」
「あ…大丈夫です。」
「すいません、こんな時間まで…連れて帰るんで大丈夫です。」
未来が申し訳なさそうに先生と話す。
「柴崎くんも、お疲れ様。ずっとつきっきりだったものね。」
え…ずっと?
ずっと私のそばに未来はいたの…?
「まぁ、こいつ、ほっとけないんで。」
「気をつけて帰りなさいよ!」
「はい。」
話についていけないまま未来に促されて学校を出る。
なんだろう…
すごく懐かしいのに…
どこか新しくて緊張して…
なのに一緒にいて違和感はなくて
普通にタメ口で話してるし…。
不思議な感覚にとらわれる。
校門を抜けて桜坂をくだっていく。
…な、何か話さなきゃ…。
「お前さー、背、伸びたな。」
沈黙を破ったのは未来だった。
「は???」
「いや、背。伸びたなーって思って。前はあんな小さかったのに。」
「あ、あ、当たり前でしょ?!いくつだと思ってんの?」
「17。」
「そ、そーだけど!そーゆー未来だって背伸びてるじゃん!」
「ん。174センチくらいだよ。」
私と10センチくらい差があるんだ…。
よく分からないけど
急に距離を感じる。
昔はほとんど背なんか変わらなかったのに…。
「…まぁ……10年以上会わなきゃそりゃ覚えてないよなー…。」
急にシンミリしたトーンで話し出す未来。
「未来…??」
「いや…。……春子の事、教えてよ。」
「え?」
「俺のいなかった間の春子のこと。知りたい。」
いきなり言われた言葉に胸を打たれた。