私の愛した未来


次の日…。

朝食を済ませた私達は山内先生の声で
解散となった。


「よっしゃぁ!沖縄エンジョイするぞぉーー!」

「…うるさっ、拓真…声のボリュームおかしいから。」

「いいじゃんかぁー!じゃ、未来と春ちゃん!よろしくぅー!」

「あ、うん…。」

楽しそうな拓真くん。

「ごめんね…?春子も…楽しんで?!」

「うん。里奈も!」

「未来くんも!春子をよろしくお願いします。」

「あぁ。楽しんで。」


なぜか里奈は私の保護者みたいな発言なんだけど…。
まぁ、いいか。


拓真くんと里奈が2人で歩いていく背中を見つめる。


「行くか。」


急に未来の声がして
肩が震える。


「えっ、あっ、うん!」

「何、挙動不審なんだよ。」

「きょ、きょ、挙動不審じゃないよ!」

「はぁ?そーゆー状態のことを挙動不審って言うんだよ!」

「う…。」

何も言い返せないけど…。

でも、でも!
未来と水族館に行けると思うと嬉しいんだよ。

昨日なんてソワソワしちゃってなかなか寝付けなかったし。


「ほら、早く行くぞ。ちゃっちゃと歩いてくれる?」

「ご、ごめん…!」

「昔から変わんねぇよな。」

ボソッと未来が呟く。

「な、なに??」

「いや…昔から春子は変わらないよな。」

「そ、そう?」

「うん。そのちんちくりんなところ。」

「ちんちくりん?!?そ、それって幼いって意味…??」

「…まぁ。」

!!
私って未来にちんちくりんって思われてたの?!

「…子供じゃないし!」

「人見知りな割に打ち解けてる人から見れば、ちんちくりんだぞ。」

「ひっど!未来の方こそ…」

「…俺の方こそ何??」

…。
ちんちくりん…ではないけど…。

未来は…私をイジルとこも、冷静なとこも、賢いところも、私を引っ張ってくれるところも変わってないけど…。

こんなにカッコよくなっちゃって…。

私だけの幼なじみの未来じゃなくて
みんなのアイドルの柴崎未来になっちゃった。


「何?悲しそうな顔して。そんなにちんちくりんって言われるのが悲しかった?」

「ち、違うよっ!もう!未来は意地悪になったね!」

「…なんだよ…そんなの昔からだろ。」

ニヤリと笑う未来。

「も、もう!!早く歩いてって言ったの未来じゃん!ほら、未来の方が遅いよ!」

「はいはい。」


楽しそうに笑う未来。


私達は水族館に向かって歩いていく。

未来にいじられながら…。



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