私の愛した未来
「ここには…修学旅行生が多すぎる。俺のこと、知ってる奴が多すぎんだよ。」
そうボソッと私に耳打ちする。
「…それって…み、…あ、あなたが有名だから…だよね…」
「…ごめん、変装なんかさせて…チョットの間我慢な。」
「ううん、大丈夫…」
そうだった…未来は国民的人気グループのメンバーだったよね。
なのに私ったら、自分の行きたいところ優先で…
未来が人混みにさらされることになるなんて考えなかった…。
それでも未来は私のことを考えて
私の行きたいところに連れてきてくれて…。
私ってば、超自己中だ。
「春子。」
突然耳元で未来が囁く。
「うん?」
「バレないように人混み歩くのって…スリリングで楽しそうじゃないか?」
「えっ??」
「バレたら面倒だけど…俺とお前だけのミッション、成功させる自信ある?」
「えっ…と…」
自信なんてあるわけない。
バレたら未来はファンに囲まれちゃうだろうし、私なんかといるところ見られたら スキャンダルと騒ぎ立てられるかもしれない。
「でも…」
「でも、何?」
「出来るかな、私に…」
「…大丈夫。俺がついてる。」
「っ!そ、そんなこと言ったって、守るのは私じゃない!」
「お、守ってくれるのか!心強い。行くぞー。」
しまった…。
完全に今のは未来の誘導にハマった…。