私の愛した未来


水族館のゲートを出ると
急に明るくなって
未来のブレザーを掴んでることがものすごく恥ずかしくなる。


とっさにブレザーの裾を離すと
未来がマスクを外して私の方を見た。

「はー、ハラハラした。」

「う、うん…」

「いつ春子が俺の名前呼ぶかって意味でな。」

「よ、呼ばなかったじゃん!」

「うん、でも何度 未来って言いかけた?笑」

笑いながら私のほっぺたをつねる。

「ぃ、いひゃい…」

ぐにぃーっとほっぺを引っ張って離すと 面白そうに笑いながら未来は歩き出す。


「大体、名前呼ばなくて未来に話をしたことなんてないから…呼び方分からないよ。」

「まぁ、そだな。」

「柴崎くん、なんて呼んだらバレちゃうかもだし…ニックネームでも決めとけば良かったね。」

「…まぁ、名前を呼びかけてやめる春子が面白かったからいいよ。」

「はあ?頑張ったのに!」

「はい、はい。お疲れ。飯でも行くか?」

また流された…。

まぁ、お腹は空いたけど。


「何食べたい?」

「…んー…ゴーヤチャンプルー…?」

「え。春子がゴーヤチャンプルー食うの?苦いの食べれんのか?」

「いや…食べれないけど…沖縄名物が思い浮かばなかったの!」

「食べれないものなら言うなよ」

そう呆れながら笑う未来。


「じゃあ、ソーキそばとかにしとくか?」

「あっ、それがあったかぁ…食べる!」

「はい、決定。」


スタスタと歩き出す未来。

お腹空いた…。

けど…ソーキそば食べるってことは
どこかお店に入るんだよね?

そしたらまた未来は変装しなきゃいけないんじゃ……?

しかも食べ物食べるとしたらマスク出来ないし…。


「み、未来!」

< 50 / 114 >

この作品をシェア

pagetop