私の愛した未来
ツルッとのどごしのいい麺は
空腹の私にとって
どんどん入る。
「んー!美味しい…」
「よかった!春子ちゃんいっぱい食べてね!」
「はい!」
思わずニコニコしてしまう。
そんな私を見て
未来は呆れ顔してる。
「食い意地張ってんのな。」
「く、食い意地って…」
「本当のことだろ。」
「う、うるさいよ…お腹空いてたんだもん。」
「春子は分かりやすいよな。分かりやすさ選手権があったら絶対優勝だよ。」
「なっ、」
いかにも褒めてるような口調で言ってるけど、それは褒めてない!
けなしてる!
「まぁ、まぁ、未来っち、そこは春子ちゃんが素直なんだよ。」
reiくんのフォローがすかさず入る。
優しいなぁ…。
「rei、こいつを甘やかさないでやって。」
「未来っちは固いんだから〜そんなんじゃ、春子ちゃんに嫌われちゃうよ?」
いや、嫌いにはならないんだけど…。
未来といると馬鹿にされてばっかりだから
reiくんの優しさが染み渡る。
「あ!そーだ!春子ちゃん!」
「は、はい??」
「明日、この店の目の前のビーチでスプリングchildの撮影があるからおいでよっ!」
「えっ?」
「ちょ、rei!やめろって……いいか?春子、絶対来んなよ?」
「えっ?」
何?
どゆこと?
「いいじゃん、未来っち、春子ちゃんおいでね?」
「ダメだ。春子は絶対来るな。」
強い言い方に胸が痛む。
「わ、私は行っちゃダメなの…?」
「…ん。ダメ。絶対来んなよ?」
その一言で私はさらに悲しくなる。
「っ…い、行かないよっ!」
思ったより大きな声がでた。
reiくんが気まずそうな顔をしている。
「未来っち、そんなに言わなくても…ごめんね、春子ちゃん…未来っちはあんな風に言ってるけど…いつでも見に来ていいからね?」
「…あ、ありがとうございます…あの…ごちそうさまでした…」
そう言って私は席を立った。
「おいくらですか?」
「えっ…あ、450円…かな」
「安いですね…とっても美味しかったです…」
私は500円玉を机に置いて
お店を出ようとする。
「ちょ、春子ちゃん?」
「春子!?」
未来とreiくんの驚いた声が聞こえる。
でも、今の私はそんな声を聞ける余裕もなく
ただただ悲しいだけ。
これ以上 未来の前にいたらきっと泣いてしまう。
そう思って店を出た。