私の愛した未来
だけど…。
未来の顔を思い浮かべた途端涙が溢れ出す。
冷たいものが頬をつたってようやく自分が泣いているって自覚する。
久しぶりに泣いた…。
最後に泣いたのは未来がいなくなった小学生だったあの日。
きっとそれぶりに泣いた。
あの日から
ちょっとやそっとのことじゃ悲しくなれなかった。
なのに…
今はこんなにも簡単に泣けている自分を単純だ、とも思う。
泣いているのに妙に冷静な自分がいる。
未来のことになると、コントロールが効かない。
コントロールどころか自分が自分じゃないみたいに感情が流されていく。
海を見ながら涙が止まらない。
私はそっと堤防に腰掛けた。
カバンに放り込んだ携帯が気になって開いてみると
何十件もの未来からの着信とメール。
メールを読んでる間にも何回も鳴る電話。
それでも通話ボタンを押す勇気がでない。
しばらく鳴った携帯は
プツリと切れてしばらくの沈黙が続く。
そのままずっと
沈黙が続いた。