私の愛した未来

気まずい空気のままホテルに来ると
どういうわけだか里奈と拓真くんがそこにはいた。


「春子ぉ!よかった!無事?!」

「えっ?」

「春ちゃん、心配したぞ?」

「あの…?」


わけがわからなくなっている私に未来が 呆れ顔で話し出す。


「お前が急にいなくなるから2人には一応伝えたわけ。2人とも、心配してホテルまでの道を探してくれたんだよ。」


…。

私のために…?



「ごめんなさいっ!」


いてもたってもいられなくなって
頭をさげる。

「本当にごめんなさいっ!…2人のデート邪魔するつもりじゃなかったの…。」

「んなこと分かってるわよ、未来くんから事情は聞いたから!それで?結局春子は、未来くんの仕事を見てみたかったってわけ?」

「い、いや、そーゆー事じゃ…」

「行こうよ!仕事場!」

「へっ?」

なぜか楽しそうに話すのは拓真くん。

「未来の仕事場行ってみよーぜ!明日はどーせ暇なんだから!」

そう言われても…

チラリと未来を見て
私は尋ねる。


「い、いいの…?」

「はぁ…来てもいいけど騒ぐなよ。特に!拓真と春子!」

「え、私?」「え、俺?」

「松原が騒ぐわけないからな。」


冷静な判断に
里奈はクスクス笑っている。

「春ちゃん…俺、今 未来にバカにされたような気がする…。」

「わ、私も…。」

「バカにしたわけじゃない、事実を言っただけだ。」


いや、それはバカにしてるんでしょーが!
と、心の中で突っ込んで見る。


「絶対に騒がないなら来ていいよ。」

「さ、騒がないよっ…」

「あったりまえだろ?なあ?春ちゃん!俺らは大人しく見てるだけだから!」

「…。まぁ、よし。」


なんか許可されたけど…。
まてよ…??

未来が私に来て欲しくなかった理由って…
私が騒ぐと思ったから??


…。
子ども扱いなのか、なんなのか…。


とりあえず、今は黙っとこう…かな。

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