私の愛した未来


私の失踪?騒動のせいであっという間に集合時間になってしまっていた。

山内先生が点呼をとって
全部の班が帰ってくると今日の残すところは 夕食とその後のミーティングだけ。


「夕食まで、みんなにはやってほしいことがありまーす。」

大声で山内先生が叫ぶ。

そう言って各班に渡されたのは茶色い封筒。

中を覗いて見ると


そこには…



数学の問題が印刷された大量のプリント。




「う、うそ…でしょ…」

よりによって数学!

最低!

キッと山内先生を見ると
楽しそうに笑っている。

「修学旅行とはいえ、修学だからな!ちゃんと勉強もしないとな!」

言ってる意味が分かりません…。


「班員で協力して問題を解いて、分からないところをなくすように!」

そーは言っても…。


私が苦い顔をして握りしめる封筒を
未来がパッと抜き去る。


「み、未来?」

「さっさと部屋戻ってやるぞ。」

「えっ、部屋でやるの?」

「じゃあロビーでやるか?」

ロビー…。
ロビーで課題広げるって迷惑じゃないかな?


「了解!私たちの部屋は散らかってるから未来くん達の部屋でいいかな?」

私の答えより先に答えたのは里奈だった。

「えっ、里奈来るの?俺らの部屋に?!ヤッベ、み、未来!片付けるぞ!」

「いや、俺のものは片付いてっから。」

「ち、ちげーよ、お、俺の荷物!て、手伝って!」

何やら拓真くんが挙動不振に陥る。


「なに、拓真。やましいものでもあるの?」

「い、いや?り、里奈…何もないよ?」

「…じゃあ今から部屋に直行しよーか?」

「ま、待て…せ、せめて5分…い、いや3分!待って!」


楽しそうに笑う里奈。


「とりあえず、勉強道具持って俺らの部屋来てくれる?こいつ、アホだから服脱ぎっぱなしなんだよな。」

未来のフォロー感満載の言葉に
私と里奈は苦笑い。


「はいはい、拓真、3分で行くからね?私に見られたくないものは片付けておくように」


ニッコリ笑う里奈。

とは、反対に焦る拓真くん。


なんとも言えない表情の未来。


数学のことが頭から離れない私。



それぞれが別々の表情のまま一旦部屋に戻った。

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