私の愛した未来


勉強道具をとってから
未来の部屋に向かう。


コンコン…
っとノックすると出てきたのは未来だった。


「早く入れ、さっさと数学やって終わらせるぞ」

「はーい。」

里奈と私は部屋に進むと
整ってるベットが1つと シーツがグチャっとしてるベットが1つ。


…。
一目でどっちがどっちのベットか分かる…。


里奈もその光景を見て苦笑いを隠せてない…。


「そこ座って、とりあえずプリント1人一枚やろう。わかんない問題にぶち当たったら、4人で解決しよ。」


的確な未来の指示に任せて
私も一枚プリントを受け取る。


…。
えーっと…。

これは…数学なのかな?

なんで数学なのにlogとかゆー英語が出てくるのかな?
…。

ダメだ。
問1からサッパリ分からない。


ちらっと隣を見ると里奈はスラスラと数式を解いている。


さらにその奥の拓真くんもペンが動いている。



…私の反対隣の未来のプリントを覗くと…。


あ、あれ??

まさか、未来も分かんない感じ?
だって、手が止まってるもんね!


そう思うと嬉しくなって顔をあげると
未来の視線はガッツリ私を見ていた。

…。
ただ、目があってキュンともならないような呆れた目が突き刺さる。



「あ、あの…??」

「お前…そんなのも解けねぇのか!高3だろ!」

「へ?」

「対数だぞ?大丈夫か?!授業聞いてたのか?」

「そ、そんな言わなくても…」

「お前…いくら陸上が出来ても、それはないわ。」

グサッと刺さる言葉。


「み、未来だって!手が動いてないじゃん!」

「はぁ?俺はもう解き終わったよ。」

そう言って見せられたのは
綺麗に解答が書かれたプリント。


「え…」

「え、じゃない。…」


呆れた顔をする未来。

…。


「…対数…教えるから…ペン持って。」

「えっ?」

「早く、数学苦手なんだろ?教えてやるからちゃんと覚えろよ?」

「う、うん…」


急な展開にオドオドする私。

教えてくれる未来はいつもよりグッと近づいてくる。

普段見に入らない数学が
頭の中にグングン入っていく。



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