私の愛した未来
待って と声に出そうとしても
動揺して上手く話せない。
「こんなところで何ボーッと突っ立ってんだ?」
「へ??」
頭の上にオレンジジュースが乗せられる。
「み、未来…」
振り返ると未来がいる。
「そろそろ教室戻んねぇと、授業始まるぞ。」
「う、うん…」
「何、なんかあった?」
「い、いや…?なにも…ない!」
「……。ん。オレンジジュースやるから元気だせー。」
「えっ…げ、元気だよ?」
明らかに挙動不振な私。
「ふぅーん…じゃこのジュースはやらん!」
意地悪そうに笑う未来。
「あっ、ジュースはもらうっ!!」
「何だよー。」
私は未来が好きなのに
林くんに言いそびれたことが引っかかる。
何も隠すことじゃないけど、
未来に知られるのは気がひける。
「ほら。教室行くぞ。」
そういってオレンジジュースを手渡してくれる未来。
ちゃんと、林くんに言わなきゃ。
私は未来が好きなんだから。
少し前を歩く背中を見ながら
後を追った。