私の愛した未来


「今日はここまでー。次の会議は2日後!じゃ、解散!」


先生の声でみんながゾロゾロと会議室を後にする。


「風戸さん、お疲れ様。」


「お疲れ様!」


林くんも立ち上がる。

「セミナー中にやる内容のことだけど、柴崎くんもいる時の方がいいから明日でも教室行くよ。」


「あっ、うん。」


「じゃ、また。」

「うん、またね。」


林くんは何事もなかったようにその場を去る。

強いな、林くんは。

私は振った方なのに、泣きそうなのに。
きっと林くんはもっとツライのに。




私は林くんの背中を眺めて
ごめんね。
と呟いた。




家に帰ってベッドに横になる。


なんか、疲れた…。


こんな時でも思い浮かぶのは未来の顔。


仕事、終わったかな。

会いたいな。


私の彼氏でもないのに
ずっと未来のことを考えちゃう。


私が未来に告白したら??

未来はどう思うのかな。

ずっと幼なじみな私に好きって言われたら、未来はどう思うのかな。



ふと、目を閉じると
ケータイが鳴る。


コール音で未来だとわかる。

未来の時だけ
スプリングchildの曲が流れるからすぐに分かる。


私はベッドから跳ね起きて
ケータイを取る。


「も、もしもし!!」

「お、何かいいことでもあった?」

「えっ??」

「いや、声が昨日より元気そうだから。」

「そ、そうかな??」

確かに昨日みたいな胸のモヤモヤはなくなってる気がする。


「元気ならいいや。ちょっとベランダ出てこいよ。」

「え?未来、帰ってきてるの?仕事は?」

「もう終わって今帰って来たところ。いいから早くベランダ出てこいって。」

「う、うん!」


慌てて電話を切ってベランダに出て行く。
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