私の愛した未来
翌朝。
私はちゃんと時間通りに家を出て未来と合流。
朝練も未来がいるからか、昨日よりウンといい成績が出る。
顧問の先生からも
褒められるほど。
順調に授業にも集中出来て、また改めて未来の存在が私にとってどれだけ大切か身をもって知る…。
そんな昼休み。
「風戸さんーーー!」
廊下から私を呼ぶ林くんの声がする。
声の方を見ると林くんが手招きをしている。
「風戸さん!柴崎も呼んできて!」
「あ、うん!」
近くにいた未来を連れて廊下に出る。
「柴崎、今回同じ班の代表の林優也。よろしく。」
「あぁ、よろしく。」
何だか素っ気ない未来の態度。
「今回決める事なんだけど、セミナー中に息抜きも必要って事で軽いゲームをやるんだけど、それの買い出しを誰にするかってことで…」
林くんが説明してくれる。
「とりあえず、今2人空いてる?」
「え??」
「山内先生に呼びだしされてるんだよね、Bグループの3人。」
「あ、そーなの?!じゃぁ、行かなきゃだね。」
未来の方を見ると
微妙にうわの空。
「未来??」
「ぁ、あぁ、呼びだしな。行くか。」
そう言ってスタスタ歩き出す。
職員室に着くと山内先生が段ボールの山の前に立っていた。
「おーー!3人来てくれたか!これ!この段ボール!教室まで運んどいてくれ!林は他クラスなのに悪いなぁ。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
「ちょっと重いけど、じゃ、よろしく!」
そう言って職員室の奥に消えていく先生。
仕方なく私も段ボールを持ち上げてみる。
…お、重い…。
見かけによらず重い。
中になにが入ってるのかな…。
「風戸さん、大丈夫?持てる?」
「だ、大丈夫!」
林くんが心配そうに覗き込む。
男子2人はラクそうに段ボールを担ぐ。
教室までは一階分階段を上らなくてはならない。
最大の難所はそこだよね。
階段に差し掛かった時、
前から来た生徒に気付かずによろっとしてしまった。
「っ、っと…」
「大丈夫?風戸さんはここで待ってていいよ、俺が1回教室行ってまた戻ってくるから。」
「えっ、大丈夫だよ!本当に!」
「ダーメ。タダでさえ女の子に重い荷物持たせるのも危険なのに、さっきよろっとしてたからなおさらだよ。」
「でも…」
チラッと未来の方を見ると
未来は林くんを凝視している。
「風戸さん、待っててねすぐ来るから。」
「えっ、あっ、ちょっと…!」
そう言っても林くんは階段を上っていく。
それに続くとばかりに
未来もサッサと行ってしまう。
…未来何かあったのかな?
林くんも…なんか急に女の子扱いされると調子が狂う。
昨日振ったばっかりだから、もっと気まずいと思ってたのに…
そうじゃない林くんに何だか拍子抜けしてしまってる私もいる。
…それにしても、やっぱり未来がどこかおかしい。
さっきからほとんど喋らないし…
どうしちゃったんだろう。
そんな事を1人残された階段前で考えてしまう。