私の愛した未来
「春子ーー!遅い!早くしないと冷やし中華売り切れちゃう!」
里奈がプクッとほっぺを膨らませている。
「ご、ごめん!」
「夏限定の冷やし中華食べるんでしょー?」
「もちろん!」
この学校は夏季セミナー限定メニューが出るんだよね。
冷やし中華に冷やしラーメン
それにアイスクレープまで…
限定メニューは人気で売り切れ続出なんだ。
「春子と松原は待ってろよ、俺と拓真で買ってきてやるから。」
「え?未来…買ってきてくれるの??」
どーゆー風の吹き回し?
「え!未来くん優しーー!拓真にもこーゆー乙女を思う気持ちを持って欲しい!」
「おいおい、里奈ぁ、俺だって買ってきてやるって!」
「いや、この状況で買いに行かないバカはいないっしょ?私が言いたいのは、未来くんみたいに サラッと言うことができて欲しいって意味ー!」
「里奈…厳しい…」
相変わらずな2人。
「未来…本当にいいの?」
「おう。冷やし中華な。松原は?冷やし中華?」
「うん!じゃ、2人ともよろしくぅー!」
財布を持って人ごみに入っていく2人。
夏季セミナーの食堂でも
未来が通る後は自然と女子生徒が集まる。
みんな未来のことを応援しているからか、写メを撮ったりする人も減った。
それは私のヤキモチが減ったってことにも繋がるけど。
「それにしても未来くん、買ってきてくれるとか優しいね!」
「うん…なんか、あったのかな…」
「へ??なんで買ってきてくれると何かあるの?」
「あ、いや…いつもは一緒に行くじゃん?なのに今日はなんでかなーって思って…。」
「んー…いつもより混んでるからじゃん?ウチらに席取り任せたんだって!」
「でも、もう席は里奈がとっててくれたでしょ??」
「…うーん…ま、深く考えなくて平気だよ!ほら!見て?あんな人ごみじゃ、ウチら潰されちゃうよ。」
確かに、食券売り場は人がごった返している。