爽やか王子と秘密の時間
「落ち着いたか?」
私が泣き止むと来宮君はそう言った。
「う、うん。ごめんね制服汚れちゃったよね」
怖いと思ってしまった事に申し訳ないと思いつつ、そう答えた。
「そんな事はどうでもいい。それより泣いてた理由、高村との事だろ」
来宮君がなんで知ってるの?
「……なんで分かったの?」
「悪い、実は知ってたんだ。大橋と高村の関係、音楽室隣だからな…」
「そ、そっかぁー、イタイとこ見られちゃったな…へへっ……」
「強がるなよ。無理に笑わなくていい」
こうしてみるとやっぱりかっこいいな。
来宮君のお陰で随分落ち着いたし、感謝しないとね。
「ありがとう、来宮君がいてくれたからもう大丈夫!」
そう言って今度は心からの笑顔を向けた。
「あ、あぁ、じゃ、俺はもう帰るから」
そう言ってそそくさと帰って行く来宮君に
「待って!」
と反射的に言ってしまった。
来宮君は驚いたように振り返った。
「あ、あのまた時々ここに来てもいい…?」
そう言うと、来宮君は
「勝手にしろ。」
と言って帰ってしまった。
やっぱり、口調は普段よりキツイけど、来宮君って優しいんだな。