ケンカときどきチョコレート






「はい、どうぞ。味の保証はしないよ」


おどけて言いつつ、それなりに自信作のブラウニーを差し出す。ラッピングのリボンは水色にした。洸太以外はみんな女の子だからピンクだったけれど、さすがに高一男子にピンクは恥ずかしいかなあと思って、特別だ。



「お返し期待してるから、三倍でよろしく!」



冗談半分でニカッと笑いかけると、なぜか不満気な洸太が、あたしの手のひらの上のチョコを値踏みするみたいににらんでいた。


そのうち火が出るんじゃないかって思うほど、じいっと。





また、わけがわからない。モヤモヤ、不安な気持ちが膨らんでいく。ちゃんと作って、ラッピングまでしたのに。


それなのに、しゃべらないどころか受け取りもしないなんて、












「ーーー今年も、義理?」







とんでもなく不機嫌な声でそう言われたあたしが、意味を理解できずにしばらくフリーズしてしまったのは、当然のことだと思う。






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