その笑顔反則につき。
私と翡翠は炎天下の中道具の数数えに勤しむ。
雑用だよね、これ。
まぁ、先輩に頼まれたから仕方ないんどけどさぁ。
「翡翠ぃ~疲れたぁ」
「見た目通り体力ないのね」
以外に真面目なんだよねー。
私も頑張らないと!
「私、妙にテンション高い翡翠よりは今の翡翠の方が好き」
「妙って何よ」
赤い顔が赤いぞお嬢さん。
照れちゃってぇ〜。
ガラッと性格チェンジした翡翠は別の意味でクラスに馴染んできた。
なんて言うか真里と同じ?
ツンデレさんだよ。
私は私でずっと翡翠といるから女子はともかく、男子とは全然話せてないなぁ。
各自仕事もあるし仕方ないのだけど。
「植木ー!涼香ー!」
離れたところから室内で世緒と絵馬くんと作業をしているはずの桃田くんが走ってきた。
「佳奈美知らねぇ?」
キラキラした笑顔で聞いてくる。
子犬みたい…。
てゆうか、世緒も最初あんな感じだった気がする。
…私何考えてる?
「蘇我さんならさっき中に入っていったけど?」
「ありがとぉ〜植木さん!」
仕事しながらも周りも見てたのね。
邪念が無いんだろうなぁ。
「じゃ、涼香!」
「か、佳奈美ちゃんによろしく!」
「おう!」
足早に来た道を戻って行く。
嵐が過ぎ去ったみたいなんて、失礼だったかな?
「作業再開しよ」
「うん」
黙々と数を数える。
紙にメモしてっと。
それより、今日中にって言うのがおかしいですぅ。
ちょっと真里の真似。
真里も上手い具合にキャラつくってるからなぁ。
「ねぇ」
「ん〜」
「どうしてあっさり私を助けたのよ」
今更聞くか?
てか、前も聞いてきた気がするし。
「翡翠は私の後悔克服に付き合ってくれてるだけだよ?」
「嘘。考えてみるとおかしいもの」
可愛いなぁ。
不安なんだろうな。
あの頃の私と同じ。
「言ったじゃん。私を助けてくれた親友達の話」
作業を続けながら言葉を繋げる。
「その子達は無条件で私を助けてくれたから。私も助けただけ」
それ以上会話は無かったけど、翡翠が自分からあの時の話をふるとは思わなかったからびっくりしたぁ。
あと少しだし頑張ろっと。