その笑顔反則につき。
「絵馬くんおはよう」



次の日校門前で絵馬くんを待ちぶせしてみた。

いつもより早く家を出たんだからね!




「…おはよう涼香」





最初の間が気になるけどそれより―






「本題は世緒だろ?…どいつもこいつも」




ん?




最後の方が聞こえなかったけど要件はばれてるみたいだ。




「わかる?」




「わかるに決まってんだろ。歩きながらでいいだろ」



「うん。ごめんね」




絵馬くんと二人きりにはなったことなかったから不思議な感じ。



男の人とは世緒くんぐらいとしかなったことないし。



「今、世緒の事考えてる」




図星なんだけど。





「あいつの足のことだろ?作業の頑張り過ぎだから気にするな」




足を痛める程体育祭楽しみなわけ?




「そんな顔するなって。早く作業終わらせて選抜の練習に行きたかったみたいだから」


もう玄関だ。
下駄箱の場所まで一緒に行けるけど。




「そういうことだろ。じゃ、お先に」





「あぅ」




詳しい事聞く前に逃げられた。



私も早く靴履いて教室行こっと。






「おはよう涼香っ」





玄関の入り口には息を切らせた世緒がいた。



走ったんだろうか?




「おはよう」



「あ、その〜」




何をそんなに言いづらそうにしてるんだろうか。



やましい事でもあるから?




「涼香って絵馬のこと好きだったりする」




「ん?」




は?




いやいや、冗談抜きで絵馬くんには真里がいるでしょ!!





「ふざけてる?」





「怒んないでって。一緒に登校するのが見えたから」





「それは元はと言えば世緒が!」





「俺が?」




あっ!

口が滑った。



「何でもない」




階段に向かって歩き出した…はずだった。




「ねぇ、何で」




後ろに軽く引っ張られた。


世緒が私の腕を掴んでる。





「………」





「言ってくれないとこのまま教室に行くよ?」





普段の世緒はこんなに行動的でも積極的でもないのに。



どうして今日はぐいぐいくるの?




「私が嫌がること世緒はしないよ」




「分かんないよ?俺今、欲求不満だから。優しく出来ないかも」




ゾクッ




今の感じ何だろう。



世緒が世緒じゃ無いみたい。





「ごめん、今の忘れて」




「忘れない!」



思ったより大きな声がでた。



それよりも私は必死に腕を掴んだ。



「足のこと心配で…聞いてただけです」





顔赤い。





「そっか。一緒に教室行かない?」





「行く」





教室までは体育祭のくだらない話をしたと思う。




意識し過ぎて恥ずかしかった。








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