その笑顔反則につき。
結構参加してる生徒多かったんだなぁ。
気のせいかも知れないけど、やたらとカップルが多い気が…
「くっつくな!」
「いやいや、くっつかないと足縛れないでしょ〜」
「あぁー!!」
真里と絵馬くんはどこに居ても目立つ。
傍から見れば恋人同士に見えるし。
それにしても世緒いないなぁ。
絵馬くんはいるのにどうしてだろう?
「セオくぅ〜ん!私と一緒に走ろうよぉ!」
「違うもん!私とだよね?」
少し離れたところで女子に捕まっていた。
ああゆう場面を見ると自分は場違いなんだって思い知らされる。
私はそこを見ないようにして人混みに紛れ込んだ。
どうして私は世緒と組むのは自分だって言えなかったのだろう。
弱虫で意気地なしだからかな…だからか。
「あ!リョウカ相手は?二人三脚の」
急に話しかけられたかと思ったら同中の野村くんだ。
「お取り込み中かな?野村くんは?」
「あぁ〜俺も似たようなもん」
「大変だね」
「おう」
私達は"ただの顔見知り"。
そう、それ以外の関係ではない。
「あのさ、良かったら俺とでねぇ?」
「でも、私―」
「だめ、彼女は俺と出るの」
いつの間にか私と野村くんの間に世緒がいる。
世緒の顔も野村くんの顔も全く見えない。
「良かったな相手間に合って」
「うん。じゃーね」
「おう」
野村くんは私達から離れていった。
何を話していいのかわからない。
あんな光景見たくなかった。
「遅くなってごめん」
「ううん、大丈夫」
「あいつ誰?」
「野村雅人くん。同中なんだ」
そっかといって世緒は無言で歩き出した。
私も小走りで追いかける。
「俺、涼香とこの競技に出れてめちゃくちゃ嬉しい」
「私も」
私は鉢巻で足を固定する。
もうすぐ私達の順番だから。
「最後に一個だけ質問していい?」
「うん」
「野村と付き合ってるの?」
「元彼だよ」
「…うん」
世緒は複雑な表情をしている。
どうにかしてあげたいけど。
あっ!
「世緒っ!」
こっちを見た隙に軽く彼の手を握る。
「絶対勝とうね」
精一杯の笑顔を君に送ります。