その笑顔反則につき。
八坂世緒side





次の競技の集合場所に向かいながら考える。





(涼香彼氏いたんだ…)




抱きつかれたのはびっくりしたけど嬉しかった。元彼の話はちょっとつらい。 



俺は涼香のこと何も知らない。



彼女はいつも須佐さんといて、読書が好きなことしか知らない。





男女の付き合いなんて何も考えていないと思ってた。






「つかおせーぞ世緒!」




「ちょ、先輩空気読んでくださいよ」




すでに虎先輩と絵馬が来ていたみたいだ。




「まさか、リョウカちゃんに振られたか??」    



「……違うけど」




けど、先輩の一言が痛い。



野村はきっとまだ好きだ。
だから涼香を誘ってたんだ。



「早く捕まえとけ。じゃないと取られんぞ」




それだけ言い残し虎先輩は短距離走のレーンに入った。




今頃、俺いいこと言ったとか思ってるんどろうな。





「虎先輩もたまにはいいこと言うよな。で、何があったんだよ」




俺は絵馬にありのまま伝えた。




「本人が元彼っつったんだったらウジウジすんな」





「いって!」




地味に殴られた。
俺の扱いが酷くなってる気がする。





「そんなに元彼が気になるなら涼香と同中のやつに聞けばいいだろ」   







うんうん、確かに!
よし、聞こう!






「それとさ、俺は虎先輩に賛成。余裕ぶっこいてるとふられるぜ!まぁ、一回くらい俺に比べたらなぁ」




「俺、涼香にちゃんと気持ち伝える」
 





「おうよ」








気分が少し晴れた。
持つべきは良き友人と…騒がしい先輩?




体育祭総合優勝目指してがんばらなきゃな!













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