その笑顔反則につき。
植木翡翠side






須佐さんと八坂さんと茶原さんに体育館脇に呼び出された。





理由はわからなくも無いのかもしれない。




特に須佐さんと八坂くんはね。






「で、話ってなんなの」






なかなか口を開かないので嫌々声を掛ける。





「私達から一つ忠告しとこ〜かと思いまして」




須佐さんの声音はいつも通りだけれど目が笑っていない。




「私達はあなたを許していないから。これ以上涼香を傷つけないでね?」




口調が変わりこっちが本性なんだろう。





「真里こえーな。…でもまぁ、俺も一緒だけどさ。俺等を裏切ったら容赦しないだけだから」




それだけ言うと二人はこの場所を去っていった。




「何て言うかさ、須佐にとって涼香はすっごい大切で。絵馬にとっては真里がすっごく大切だって事だと思うよ」




八坂さんはわざわざ二人が言ったことを私に伝わりやすくなるように代弁してくれた。





でも、言われなくても自分が酷いことをしたのは理解してる。




とうの二人はいっつもほわほわふわふわしてて調子狂うけど。




私は八坂さんの後をついて日陰の場所に腰を落とした。






「で、八坂くんが私に話す事はなんなの」





「あ、はは」





曖昧に笑って誤魔化す。





私こういう人は面倒くさいと感じてしまう質だから。





イライラする。





八坂さんは私が機嫌が悪くなってのを見越して口を開いた。




「俺さ、植木さんみたいな人と一時期会っててさ」




「その子はさ言うんだよ。同情なんていらないからって。でも、俺がその子に会うたび泣いてるんだよな」




「だから、辛いこととかあって、涼香にも相談できないようなら俺を頼って」






あぁ、彼と彼女は私に親切にしてくれる。




同情でも哀れみでもない目を私に向けてくれる。





私って幸せ者なんだろうか。





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