その笑顔反則につき。
「みーつけた」
「………」
「無視はひどいよー」
案の定、彼女はそこにいた。
何か都合の悪いことがあると必ずここにいるんだ。
真里と最初に会ったのもここだった。
今は使われていない学校の裏口のぼうぼうと生い茂る草の中。
いい感じに草が生えていないところに、入学式をサボったであろう彼女と出会った。
その時の真里は今と全然違う外見をしていた。
染められていない黒い髪を後ろで一つにして、ふち無しメガネをかけた女の子。
まさかの第一声は「うせろ」だったのは衝撃を受けた。
大人しそうな外見はお飾りかっての。
私も私でその濡れたスカートや落書きされた靴は見てみぬふりをした。
(あぁ、このこいじめられてるんだ)
その時の私はどんな顔をしていたのかは知らないけど、すごく睨まれたのだけは覚えてる。
多分私は気まぐれで彼女に話しかけてしまった。
「お前がうせろ」
口から出た真とはまさにこの事だと言える。
いきなりうせろとか言われたら、腹立ちますよねー。
たちまち喧嘩。
言葉だけでは飽きたらず、お互いに手を出した。