その笑顔反則につき。
お互いにボロボロ。
これからどうしようかと考えていたら彼女の方が口を開いた。
「いきなりうせろなんて言ってごめん」
正直びっくりした。
今更謝るかって。
まぁ、いいんじゃないの気が済めば。
「私、須佐真里」
須佐さんね。
「私は広瀬涼香。で、どうしてこんなところにいたわけ?」
須佐さんはメガネを外して独り事のように話しだした。
・人付き合いが苦手なこと。
・自分の外見がコンプレックスな事。
・沢山の人達がいる中で人気のある男子生徒(自分を気に掛けてくれていた人)に告白をされ、イジメられていること。
「まだ高校生活始めだし」
「なのにいじめられてるの!!」
「じゃあ、少しでも自分の外見を変えてみようと思ったことはある?」
「他の人と仲良くしようとした事ある?」
彼女は私を押し倒して走り去った。
ちょっと、言い過ぎたかなぁ~。
(私も帰ろ)
✡.°✡.°✡.°✡.°✡.°
次の日、須佐さんは真里になっていた。
髪を染め、コンタクトにし、制服をオシャレに着こなしてきた。
(おっ、やるぅ)
昨日の彼女が自分の力で立ち上がった瞬間だった。
ただ、計算外だったのは性格までもが今の真里だったこと。
「広瀬さん。ちょっといいですかぁ〜」
「んー」
私は須佐さんに付いて行った。
この変貌ぶりはクラスで彼女を知っている人はみんなあからさまに驚いていたし。
昨日争った場所に彼女は座り、私も隣に腰を下ろした。
「すごく変身したね。びっくりした」
「姉貴の全身フルコース。…性格はそれに合わせてみたいな」
でも、今は昨日の須佐さんだ。
「頑張ったね。お疲れ」
私は立ち上がりその場を去ろうとした。
「私と友達になって!最初と方はきっとボロが出るから!おねがい」
須佐さんは泣きそうになって、私の腕にしがみついた。
あぁ、中身は変わってない。
あの無鉄砲の意気地なしだ。
「好きにすれば」
私は真里が泣き止むまで一緒にいて、二人で帰った。
私にしても、高校最初の友達ができた。