その笑顔反則につき。
お弁当は勝手に開けて、翡翠と絵馬くんと世緒が食べていた。
まぁ、文句は言えないけど。
時間的に言えばそろそろ休憩が終わる頃だから。
「涼香も須佐さんも早く座りなよ」
「うん。どれがおすすめ?」
さり気なく隣を開けてくれる世緒の横に私が座り、真里は絵馬くんに捕まって…
「真里はこっちでしょー」
「キショイ。触んな!」
いつも通り。
でもない。
世緒と翡翠の距離が縮まった?
モヤモヤする私は自分勝手だ。
誰かに恋をするのは当たり前の事だから。
翡翠を応援してあげたいと思ってしまう私は欲が無いのか、そこまで世緒の事が好きじゃないのか。
「ん」
口に何か押し付けられてる?
意識を目の前の事に戻すと世緒が私の口にハンバーグを押し付けてた。
それも満面の笑みで。
食べろってことなのかな?
一口でいただくけど。
「私が作ったやつだよね?」
「俺のオススメ。この味好きだからさ」
確か登山の時も食べてくれたんだったなぁ。
覚えてくれてたんだ。
頬が緩む。
「こっちもオススメ」
今度は翡翠が私にあーんしてくれる。
嬉しいけど二回続けては恥ずかしいけど…
「美味しい」
やっぱり、あたしの作った玉子焼き。
「どっちの方が美味しかった?」
「どっちも?」
「今度、お弁当作ったら食べてくれる?」
「うん」
素直になった翡翠。
そして、私の気のせいじゃなければ私に懐いたのかな?
幻覚かもしれないけれど翡翠のことを睨んでる人約二人。
翡翠って世緒のこと好きなわけじゃ無いかも?