その笑顔反則につき。
「雨か」
最近雨ばかりだ。
だからといって何かがある訳でもないけど。
眠い。
「広瀬ちゃん?眠たそうだね」
「……」
「ガン無視スルーは傷つくんだけどなぁ?」
私は内申舌打ちをし顔を隣に向け精一杯の作り笑顔で振り向いた。
パシャ
「は?」
「広瀬ちゃんの作り笑顔をゲット!」
も・し・か・し・て
「写メったの!意味わからない消しなさいよ!」
私は八坂くんのケータイを取ろうとしたが身長差故に早々諦めた。
ここは大人しくスルーする場面だ。
「世緒くぅ〜んその写真送って下さい!」
「なんで真里まで加わってるの!!」
✡.°✡.°✡.°✡.°✡.°
雨の日の体育は室内バレーです。
女子はですが。
男子はバスケらしく白熱とした試合を繰り広げているそうです。
私は興味ないし。
バンッ
おそろしーサーブだこと。
さすがバレー部エース。
球技は自信がないので、いや、無さすぎるので自主的に見学中。
「キャーセオくんカッコイイ!」
「頑張れセオセオー!」
いつの間にか男子バスケにギャラリーが出来ていた。
さすが八坂くん人気者だね。
ハーレムすごーい。
「あ、危ない!」
ドゴッ
「涼香!」
遠のいていく意識の中。
真里の叫び声が聞えた。
大丈夫だよ。
ボールが頭にあたっただけ。
いい香り。
シトラスかな?
…………。
「目を覚ました?気分はどう」
眼を覚ますと保健室で保険医の先生がいた。
今何時?
授業出なきゃ。
「具合は大丈夫です。あの、今何限ですか?」
「6限が終わるところね」
ガビーン!
私ってそんなにやわだったわけ!
「後、世緒がここまで運んでくれたんだからお礼いっときなさいね」
「はい…」
まさかまさかまさか、世緒に助けられる日が来るなんて。
明日は雨か雪か?
それとも火山噴火か?
「失礼しました」
保健室から出る。
頭の後ろが少し痛むがまぁ気にならん。
世緒に助けてもらったのか…。
「広瀬ちゃん大丈夫!?」
正面からこっちに向かって走ってくる世緒の姿があった。
焦ってる世緒の顔初めて見た。
でも―
「痛いじゃないのぉ〜」
「ちょ、なにそのキャラ!っはは!!」
「やっと笑った。笑ってたほうがいいよ」
―笑ってたほうが世緒らしい。