勝手に古今和歌集
先生がくすくす笑いながら言う。






「いま林さんが言ったのはつまり、高橋くんのことが好きなわけない、っていうことだよね?」





「もちろんですっ、こんなバカでガキなやつ!!」





「お前だってバカでガキじゃねえか!」






みんなが楽しそうに笑っている。




林さんと高橋くんは仲良しで、いつも元気に言い合いをしているので、よくみんなから「付き合っちゃえよ」なんてからかわれているのだ。







「現在では、誰かが夢に出てくるっていうことは、自分がその人のことを好きだというふうに考えられてますが、昔は逆だったんですよ」






「えっ、どーゆーこと?」






「つまりね、林さんの夢に高橋くんが出てきたってことは。


高橋くんが林さんのことを好きで好きでたまらなくて、気持ちを抑えきれなくて、林さんの夢の中にまで会いに行った、ってことになるの」







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