勝手に古今和歌集
と、ここまで考えて、あたしは急激に、犬飼くんに対して申し訳なくなってきた。




だって、勝手に勘違いして、犬飼くんのことキモいストーカーだと思って、必死であれこれ作戦立てたりして。





もー、情けないやら申し訳ないやら。






自分が悪いと思ったらすぐに謝りなさい、というまともな教育も受けてきたあたしは、俯いたまま小さく呟いた。






「…………ごめん、犬飼くん……」






それを聞いた瞬間、犬飼くんが絶望的な表情になった。






「俺、やっぱり振られるんだー………」








……………ん?





なんだ、また噛み合ってないっ!!







「ちっ、ちがうちがう、そっちの話じゃなくてー!!」






「えっ、じゃあ、OKしてくれんの!?」






「へっ!? あっ、いや………っ」







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