勝手に古今和歌集







「あれ〜? 消しゴム忘れちゃった〜」





俺が勇気をふりしぼって夏木さんに告白してから一日。




夏木さんは恥ずかしさからか、何も言わずに俺の後ろの席に座った。




そして、こんなことを言ったのである。





たいへんだ、消しゴムがないと夏木さんは困るだろう。





俺の筆箱には、たまたま二つの消しゴムが入っていた。



神様、ありがとう………!





俺はきれいなほうの消しゴムをつかみ、夏木さんを振り返ろうとした。





んだけど。






「消しゴム貸して!」






夏木さんがそう言って手を差し出した先は、俺ではなく原田の席だった。






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