勝手に古今和歌集
くふふ、夏木さんったら。




ほんとに照れ屋さんだなぁ。





俺に直接「貸して」と言うのが恥ずかしくて、わざと隣の原田に頼んだのだろう。




でも、そこは俺が察して、気をきかせてあげなくちゃ!






「夏木さん、俺の消しゴム使っていいよ」






俺はにっこりと笑って、夏木さんに消しゴムを差し出した。






「俺ふたつ持ってるから、今日一日貸してあげるよ」






気をつかわせないように、フォローも入れつつ、ね。






「ありがと!犬飼くん」






夏木さんがなぜか少し困ったような笑顔を浮かべて、俺の消しゴムを受け取った。





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