勝手に古今和歌集
そうか………




俺と夏木さんのことが、まわりに気づかれちゃうんじゃないかって、どきどきしてるんだな。





だからさっきも、俺に直接貸してと言えずに、間接的に思いを伝えてきたんだ。





俺としては、べつに皆にばれちゃっても構わないんだけど。




控えめな夏木さんには、ちょっと恥ずかすぎるのかも。






「夏木さんってシャイだよね……」






そういうとこがかわいいなぁ、と思いながら言うと、夏木さんは複雑な表情でぱっと俯き、俺の消しゴムでノートの文字を消しはじめた。





俺の顔が直視できないんだね。




ほんと、シャイで照れ屋でかわいいなぁ。






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