勝手に古今和歌集
みんながへえぇ、と息を洩らした。




あたしはノートに、『夢の通い路』と書きつけ、その下に『愛しい人の夢の中へ会いに行く』と小さく足した。




………おもしろいなぁ。



夢に対する考え方が、平安時代と現代では180度違うんだ。




夢に見た自分が相手のことを好きなんだと思わずに、相手が自分のことを好きで会いに来たと考えていたなんて。




夢なんて、あくまでも自分の脳が見せるものなのに。





でも、昔の人はそんな科学的な知識なんてなかったわけだから、しかたないか。





そんなことを考えているうちに、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。





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