勝手に古今和歌集
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わたしは人魚。
海の底で暮らしている。
夜になると、はるか頭上の水面を月明かりが照らして、
無数の月光の筋が、深い深い海の底に射し込んでくる。
海底の真っ白な砂粒に、きらきらと輝く月明かりで網目の模様。
とっても綺麗。
わたしはふわふわと漂いながら、うっとりと頬杖をついて光の洪水を眺める。
両手を広げてみると、
わたしの腕にも、胸にも、お腹にも、鱗にも、きらきらと月の光が模様を作っていた。