初春にて。
「ユズが先」
 そう言うと彼が覆いかぶさってきて。
「えっ!?」
 途端に、舌で、唇で、指で、眼で。
「あ……」
 私の全てをいつものように愛で始めるから、私の躰もすぐに解けていく。
「ぃやぁ」
「いや? そんなら止めよっか?」
「いやだぁ、止めないっ」
 くつくつと喉の奥で笑う彼を見上げつつ、今こうして居られる事を嬉しく思う。
「なに、ぼぅっとしとん?」
「ひやぁっ」
 彼の指が、私の中に押し入ってきた。
「あれ。やっぱ少し足らんな。……な、もっと甘やかしても、ええ?」
「へ?」
 すかさず私の弱い所を指先で引っ掻くように擦るから、私はたまらず、また声を上げてしまう。
「ここ、ユズ、好きなとこ、ちゃう?」
「はぁ、……ん」
 私の返事を聞くまでもなく彼の指が執拗に私の中をかき回すから、私はいとも簡単に押し上げられる。
「……も、だめぇ」
 がくり、と躰が勝手にベッドに倒れ込む。もう、終わり? と笑う彼を睨みつけようと思うけど、それすらも出来ないほど、全身が蕩けている。
< 14 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop