初春にて。
 互いに互いが初めて彼氏彼女だった私たちの関係は、大学生活後半戦に入ってからの遅咲きで、啓太のあからさまなアプローチに私が折れる形で始まった。
 何もかもが初めてだらけの交際は、デートで楽しく浮かれるよりも、ベッドで途方にくれることの方がはるかに多かった。
 鷹揚で大らかな性格かと思っていたけれど。
——ちくしょう。なんで、他のヤツみたいに上手くいかんかな。
 その実は、なんでも周囲の言いなり。
——やっぱ、一番最初はゴムなしの方が上手くいくってみんな言うちょおけん、な?
 そして、自分本位でわがままで。
——生理中ならつけんでも大丈夫だって、みんな言うちょぉし、つか、よう考えてみ? 卵子が無いけん、子どもが出来ようもないがぁ。
 それでも、頑張って私なりには尽してみたけれど。
——なぁ、俺、どうだった? よかった? ……なんだ、感想も言えんのか。つまらん女。
 結局。
——まぁ、俺も実家ば継ぐけん帰らなならんし。遠恋になるなら意味ないけん、お互い別れた方がええね。
 一方的に彼が終止符を打って、私たちの関係は終わった。
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